PC98のHDDをSSDやCFへ交換した際にOSやデータの入れ直しがメンドクサイ。
そういう訳で、本記事では既存のHDDのクローンを作成します。
今回はHDD→SSDへのクローンをおこないます。
↓簡易的な手順動画です。流れはつかめると思います。
youtu.be
概要
ddコマンド
今回のクローンの作成はLinuxの「ddコマンド」というバックアップのコマンドを使います。
ddコマンドとはUnix系のOSにあるコマンドで、データのコピーや変換をブロックデバイスへ直接読み書きして行うことができます。
ddコマンドを使えば、ファイルシステムの種類やOSとは関係のないところでコピーを実施する事が可能なので、このコマンドを使用します。
大雑把な手順
大雑把に以下の手順になります。
- LinuxのddコマンドでPC98のIDE HDDのディスクイメージを取る
- 取得したディスクイメージをSSDへコピーして、クローンを作成する
用意するもの
クローンを作成するために必要なもの。
Raspberry Pi 4 Model B
Linuxのコマンドを使うため、Raspberry Pi 4を使用します。
本PC98記事には純レギュラーのRaspberry Pi。
あれば便利です。
コピー元のHDD
PC98に入っているIDEのHDD。
ちなみに、今回のPC98内蔵IDE HDDは1.2Gのものです。
IDE HDD → USB への変換アダプタ
IDEのHDDをRaspberry Piとつなげるための変換アダプタ。
Groovy タイムリー GROOVY HDDをUSB IDE接続2.5/3.5/5.25"ドライブ専用 UD-303SM
コピー先のSSD
コピー先のSSD。家に転がっていたSSD。
Intel SSD 520シリーズ。元は180Gのものです。
このSSDはPC98で使えるように容量を約4Gへ縮小してあります。
制限方法については以下の記事を参照してください。
pokug.net
SATA → USB への変換アダプタ
SATAのSSDをRaspberry Piとつなげるための変換アダプタ。
オウルテック 2.5インチ/3.5インチSATA HDD用アダプタ ACアダプタ付 SATA⇒USB3.0 USB3.0 新IC UASP対応 ガチャポンパッ!でデータ移動 OWL-PCSPS3U3U2
手順
PC98からHDDを取り出す
PC98からHDDを取り外します。
IDE HDDをRaspberry Piに接続
IDE HDD → USB への変換アダプタを使い、Raspberry PiへUSB経由でつなげます。
ddコマンドでPC98のHDDのディスクイメージを取る
ここからは、Raspberry Piでの実行になります。
Raspberry PiにつけたHDDのドライブ識別子の確認
ドライブ識別子というのは、Windowsで言うところの「ディスクの管理」画面から見える「ディスク 0」とか「ディスク 1」とかのHDDの識別子です。下の画像の赤枠で囲ってある表示のやつです。
Raspberry Pi 4では以下のコマンドで確認します。
sudo fdisk -l
以下画像がコマンドの結果画像。
上記画像の上から3つ目の黄色の文字に、
「Disk /dev/sdb: 1.1 GiB...」
とあり、今回のPC98のHDDは1.2Gで、容量がだいたい一致しているので「dev/sdb」がPC98のHDDだとわかります。
ディスクイメージを取る
以下のddコマンドを使いディスクイメージを取得
sudo dd if=/dev/sdb of=/home/samba/pc9821v13.image bs=512 conv=noerror,sync
コマンドの意味は以下になります。
- ドライブ識別子「dev/sdb」(HDD)のディスク内容を、
- Raspberry Pi のフォルダ「/home/samba/」へ、
- 「pc9821v13.image」というファイル名でディスクイメージを取得
以下が実行結果。
これでディスクイメージを取得が終わりました。
次からはディスクイメージをSSDへコピーする作業になります。
SSDをRaspberry Piに接続
SATA → USB への変換アダプタを使い、SSDをRaspberry PiのUSBにつなげます。
ddコマンドでSSDへディスクイメージのコピー
ここからは、Raspberry Piでの実行になります。
Raspberry PiにつけたSSDのドライブ識別子の確認
Raspberry PiにつけたSSDのドライブ識別子を確認します。
コピー元のHDDでおこなった作業と同じことをおこないます。
sudo fdisk -l
今回のSSDは4Gに縮小してあります。
そして、上から3番目の黄色の文字に
「Dsik /dev/sdb: 3.8GiB...」
という記述から「/dev/sdb」がSSDだと思われます。
ddコマンドでSSDへディスクイメージのコピー
以下のddコマンドを使いディスクイメージをコピー
sudo dd if=/home/samba/pc9821v13.image of=/dev/sdb bs=512 conv=noerror,sync
コマンドの意味は以下になります。
- Raspberry Pi のフォルダ「/home/samba/」の、
- 「pc9821v13.image」というディスクイメージを、
- ドライブ識別子「dev/sdb」(SSD)へコピー
以下実行結果。
SSDをPC98に取り付け、起動
SSDをPC98に取り付け起動します。
終わり
HDDからSSDへのクローン作製方法でした。
今回は
- HDD → SSD
でおこないましたが、
- HDD → HDD
- HDD → CF
- CF → SSD
でも問題なくできます。
あと、ddコマンドでRaspberry Piの「/home/samba/pc9821v13.image」にディスクイメージを取得しました。
このファイルをどこかに保存しておけば、もしPC98に取り付けたSSDが壊れても他のHDDやSSDを調達し、このイメージファイルをコピーすればOSとデータが復活するので、ぜひOSとデータのバックアップという意味でもこのディスクイメージはどこかに取っておきましょう。