PokuG stdio.h

stdio.hはおまじない

MENU

いまさら聞けないPC-98でファイルを共有する方法(Samba編)

PC-98のMS-DOS,Windows95/98/NT/2Kをネットワークに入れてファイル共有するメモ書きです。
Raspberry Pi(Linux)のSambaというファイルサーバのソフトウェアを使用しファイル共有します。

あと、ぶっちゃけ本記事は通信の話なので98はほぼ関係ないのと、LANを装備できる9821の記事です

ネットワーク概論

PC-98を現在のネットワークに入れてファイル共有をおこなう場合のMS-DOS,Windows95/98/NT/2Kの通信方法(ネットワークプロトコル)のおさらいです。
詳細は下の記事より

MS-DOS、Windows95/98をネットワークに参加させる方法の概論 - PokuG stdio.h

認証方法 セキュリティ サポート 備考
LM認証 ものすごく低い MS-DOS、Windows3.1/95/98でサポート
NTLM認証 低い Windows NT/2000/XP/2003以降サポート Windows95/98は未サポート
NTLMv2認証 低い Windows Me/2000/XP/2003以降でサポート Windows Vista以降ではNTLMv2認証のみがデフォルト使用可能

上の表より、MS-DOS/Win95/98はLM認証NT/2KはNTLM認証というものを使用します。

なお、このLM認証、NTLM認証はWindows11(24H2)ではこの通信方法が塞がれており現在ではWindows11とMS-DOS、Windows3.1/95/98では直接通信できないようになっています。


想定するネットワーク構成

今回想定するネットワーク構成は以下を想定します。

Windows11とPC-98(MS-DOS、Windows3.1/95/98)が直接通信できないので、間にRaspberry Pi(Linux)にファイルサーバーを立てます。

Raspberry Piに立てるファイルサーバーはLM認証から最新の認証方法まで全部の通信を許可することで、Windows11のファイルをRaspberry Piにコピーし、Windows95などのOSがRaspberry Piからファイルを取得するようにします。(当然逆も可能です)


注意点

LM認証などの昔のプロトコルを許可するのでこのファイルサーバーはセキュリティ的に弱くなっています。

さらに、本記事の設定では共有フォルダにユーザーとパスワードの入力も入れない設定にしています。
ファイルサーバー的には、ほぼノーガードのなので、この辺は注意して下さい。


Raspberry Pi(Linux)側で使用するソフトウェア

Samba

Sambaは、Linux上でWindowsのファイルサーバ機能を実現するソフトウェアです
2024年時点でWindows11などで廃止していると思われるLM認証を使用できます。
※当然、NTLM認証、NTLMv2認証も可能です


Sambaのインストールおよび設定方法

Raspberry PiにRaspberry Pi OSがインストールされていて、CUIから操作することを前提で解説します。
Raspberry Pi OSのインストール方法はネットで探してください。

うちのページではこの辺ができていれば問題ないと思います。

MicroSDにRaspberry Pi OSをインストールする - PokuG stdio.h
Raspberry Pi4をセットアップする - PokuG stdio.h
Raspberry Pi4へCUIでリモートアクセス - PokuG stdio.h

Sambaのインストール方法

以下のコマンドを実行します。

sudo apt-get install samba

共有させるフォルダおよびアクセス権の設定

まずは、Raspberry Pi側で共有させるフォルダを作成し、アクセス権限を設定します。

Raspberry Pi側で共有のフォルダを作成
sudo mkdir /home/samba
共有フォルダのアクセス権限をフルアクセスにする
sudo chmod 777 /home/samba/

Sambaの設定ファイルの編集

フォルダを作成した後に Sambaの設定ファイルを編集します。

sambaの設定ファイルのバックアップを取っておく

まずは、設定ファイルのバックアップを取ります。

sudo cp /etc/samba/smb.conf /etc/samba/smb.conf.org
smb.confファイルを編集

viというテキストエディタでsambaの設定ファイル(smb.conf)を編集します。

sudo vi /etc/samba/smb.conf
smb.confファイルの編集

デフォルトのsmb.confはコメントがメチャメチャ書いてあって長いですが、下の記述だけでOKです。
smb.confの内容を全部消して下をコピペしてもOKです。
[global]の所のworkgroup =server string = の値は自分の環境に書き換えましょう!

[global]
	#ワークグループ名とサーバー名を入れる
	workgroup = <ワークグループ名>
	server string = <サーバー名>

	#guestユーザにマッピング
	security = user
	map to guest = Bad User

	#プリンタのログを出さない
	printing = bsd

	#DOS/95/98 settei
	server min protocol = LANMAN1
	ntlm auth = Yes
	lanman auth = Yes
	dos charset = CP932
	unix charset = UTF-8
	#DOS/95/98設定 settei

[public]
	comment = Public Stuff
	path = /home/samba
	browsable =yes
	writable = yes
	guest ok = yes
	read only = no
	guest only = yes
	create mode = 0777
	directory mode = 0777

Windows11からSambaにアクセスするユーザー/パスワードの設定

Windows10/11からはファイルサーバー(Samba)へユーザーとパスワードが無いとデフォルトではアクセスできないので、Windows11からSambaにアクセスするユーザーの作成とパスワードを設定します。
※MS-DOS,Windows95/98/NT/2Kからはユーザー名、パスワードの入力は必要ありません。

Windows11からSambaにアクセスするユーザーの作成

"test_user"というOSユーザーを作成しています。
パスワードも聞かれますが、これはRaspberry Piにログインするパスワードになります。

sudo adduser test_user
Windows11からSambaにアクセスするパスワードの設定

Sambaにアクセスするパスワードの設定です。
上の手順で作成した"test_user"のパスワードと別にしても問題ないですが、同じパスワードを設定した方がよいと思います。

sudo smbpasswd -a test_user

Sambaの再起動

Sambaの設定ファイルを編集後に、Sambaを再起動します。

sudo service smbd restart
sudo service nmbd restart


これでRaspberry Pi側の設定は終了です。


Windows側のネットワーク設定

Windows側の設定です。
下画像のようなWindows側でIPアドレスを手動で設定できるスキルがあることを前提として解説します。

Windows95/98の場合

リンク先の設定をおこないます。

Windows95でファイルの共有をおこなう方法 - PokuG stdio.h

Windows NT3.51/NT4.0/2Kの場合

OSインストール時にファイル共有の設定が完了しているので別途手動でおこなう必要はないと思います。

MS-DOSの場合

以下のリンクの「PC98へLAN Managerをインストールする概要」を確認しましょう。

PC98のMS-DOSをネットワーク(LAN)に参加させる方法~実践編~ - PokuG stdio.h


共有フォルダへのアクセス方法

下の画像のようなネットワークコンピュータのアイコンから共有フォルダへアクセスしようとしても表示されない場合があるので、ネットワークコンピュータからアクセスはしない方がよいと思います。

上のアイコンからはアクセスしません。

Windows 10/11の場合

■エクスプローラーのアドレス欄に 「\\IPアドレス」と入力してエンターキーを押します。

■ユーザーとパスワードを聞いてくるので、上の手順でSambaにアクセスするユーザー/パスワードを入力します。

Windows 2Kの場合

エクスプローラーのアドレス欄に 「\\IPアドレス」と入力してエンターキーを押します。

Windows NT4.0の場合

「スタート」→「検索」→「ほかのコンピュータ」

名前にアクセスしたいパソコンのIPアドレスを入力し、「検索開始」ボタンを押します。
下に結果が出るのでアクセスします。

Windows NT3.51の場合

ファイルマネージャーを起動し、「ディスク」→「ネットワークの接続」を選択します。

「ドライブ」と「パス」を設定します。

Windows95/98の場合

「スタート」→「検索」→「ほかのコンピュータ」

名前にアクセスしたいパソコンのパソコン名(※Win98の場合はIPアドレスでも可)を入力し、「検索開始」ボタンを押します。
下に結果が出るのでアクセスします。

MS-DOSの場合

MS-DOSの場合は以下のリンクの「LAN Managerをインストールします。

PC98のMS-DOSをネットワーク(LAN)に参加させる方法~実践編~ - PokuG stdio.h

net useコマンドで接続します。


終わり

以上、いまさら聞けないPC-98でファイルを共有する方法(Samba編)でした。

正直Windowsに比べてMS-DOSでネットワークに参加するのは敷居が高い気がします。
WindowsからMS-DOSの領域は読み書きできる(ただしDOSから見るとゴミファイルが見えるかも)ので、もし98にWindowsをインストールできるリソースがあるならWindowsをインストールしMS-DOSどデュアルブートできる環境にしておけばMS-DOSのファイルの共有もWindows経由でするのが楽なのではないかと思います。