Q.PC-9821V13を購入し、PC-9801-86サウンドカードとMatrox Millennium グラフィックカードを増設しました。
しかし、グラフィックカードを増設すると音が出なくなります。
解決策はありますか?
こんな質問を受けたので解決方法を考えようと思います。
おそらくINT(IRQ)の重複だろうと思いますが、自分が対処するのならこんな感じだろうという体で記載します。
ボード単体で正常動作するかの確認
- PC-9801-86サウンドカード単体で正常に音が出るか?
- Matrox Millennium グラフィックカードのみを単体で装着して正常に映像が映るか?
サウンドカード、グラフィックカード以外に増設ボードが付いている場合は外し、個々のサウンドカード、グラフィックカード単体では正常に動作するかの確認します。
これで、正常に動いていない場合はサウンドカード、グラフィックカードの設定を見直しましょう。
INT(IRQ)の重複を疑う
サウンドカード、グラフィックカード単体では正常に動いているが、2つ同時に取り付けると問題が出る場合、思いつくのがINT(IRQ)の重複だと思います。
PC-9821V13ではFAXモデムボード及びISDNボードを抜いた場合、空きINT(IRQ)はデフォルトで3つ(INT0、INT2、INT41)空いています。
この空いているINT(IRQ)もしくはサウンドカードデフォルトのINT5(12)にサウンドカード、グラフィックカードともに同じINT(IRQ)を設定している可能性があると思います。
INT0 (IRQ3) |
INT1 (IRQ5) |
INT2 (IRQ6) |
INT3 (IRQ9) |
INT41 (IRQ10) |
INT42 (IRQ11) |
INT5 (IRQ12) |
INT6 (IRQ13) |
|
内蔵FDD | ◎ | |||||||
内蔵マウス | ◎ | |||||||
内蔵HDD | ◎ | |||||||
内蔵サウンド | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | ||||
内蔵2nd CCU | ◎ | |||||||
FAXモデムボード (FAXモデルのみ) |
◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
ISDNボード (ISDNモデルのみ) |
〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
◎:工場出荷時の設定
〇:設定可能
【対処方法その1】PC-98のBIOS(?)をリセットし、サウンドカード、グラフィックカードの設定をしなおす
PC-98のBIOS(?)をリセットし、サウンドカード、グラフィックカードの設定をしなおします。
以下手順を実行すると次の設定になると思うのでINT(IRQ)の重複は回避できると思います。
- PC-9801-86サウンドカード → INT5(12)
- Matrox Millennium グラフィックカード → INT0(IRQ3) もしくは INT2(IRQ6)
"[GRPH] + [SHIFT]" キーを押しながらPC-98の電源を押し起動
PC-98のBIOS(?)設定の初期化をおこないます。
この操作で "システムセットアップメニュー" と ”PCIセットアップユーティリティ” で設定した内容が初期化され工場出荷時に戻ります。
サウンドカードの再設定
以下リンクの記事を参考にPC-9801-86サウンドカードの再設定をします。
PC9821に86音源を取り付ける - PokuG stdio.h
注意点は以下だと思います。
■ディップスイッチは下の画像にする
下写真のディップスイッチ設定で、PC-9801-86サウンドカードはINT5(12)に設定されます。
■システムセットアップメニューで内蔵のPCM音源をオフにする
内蔵のPCM音源がINT5(12)を使用しているので解放します。
内蔵のPCM音源を "使用しない" にしましょう。
Matrox Millennium グラフィックカードの再設定
以下リンクの記事を参考にMatrox Millennium グラフィックカードの再設定をします。
PC9821に初代Millenniumを取りける - PokuG stdio.h
Matrox Millennium グラフィックカードの注意点は以下だと思います。
■ディップスイッチは下の画像にする
【対処方法その2】PC-9801-86サウンドカードのINT(IRQ)を変更する
PC-9801-86サウンドカードのINT(IRQ)を変更します。
PC-9801-86サウンドカードのINT(IRQ)を変更方法
以下はPC-9801-86サウンドカードのディップスイッチです。
SW3とSW4でINT(IRQ)を変更できるので、INT0(IRQ3)、INT41(IRQ10)、INT5(IRQ12)いずれかの設定で音が鳴ると思います。
SW3 | SW4 | INT(IRQ) |
---|---|---|
OFF | OFF | INT0(IRQ3) |
ON | OFF | INT41(IRQ10) |
OFF | ON | INT6(IRQ13)←PC-9821の内蔵マウスと競合するので設定NG |
ON | ON | INT5(IRQ12) |
注意点は以下になると思います。
■システムセットアップメニューで内蔵のPCM音源をオフにする
内蔵のPCM音源がINT5(12)を使用しているので解放します。
内蔵のPCM音源を "使用しない" にしましょう。
終わり
多分これでいけるんじゃないでしょうか?
PC-9801-86サウンドカードとMatrox Millennium グラフィックカードの競合の根本的な原因はPCIボードのリソース予約に由来するもので、本来なら "PCIセットアップユーティリティ" を使用すれば直ぐに解決できそうですが、2023年現在では "PCIセットアップユーティリティ"が入手困難だと思うので今回の対応を取ってみました。
本来の外結策は以下のリンクだと思います。
PCIセットアップユーティリティを使用する - PokuG stdio.h
これでも音が出なかったらわかりません!
補足
WindowsでのINT(IRQ)の重複の確認方法
Windowsでの確認方法です。
MS-DOSでの確認方法はわかりません。
■コントロールパネルからシステムを立ち上げる
■デバイスマネージャータグをクリック
フルカラー...にビックリマーク(!)が付いています。
■フルカラーウインドアクセラレータをダブルクリック
IRQが12で競合するデバイスに86音源と出ています。
■86音源をダブルクリック
こちらもIRQ12と出ていて競合していることがわかります。