Windows95/98をプリインストールしている後期型PC98はTCP/IPのネットワーク設定が比較的簡単にできます。
今回はLANポート装着というかネットワークの設定をおこなうと色々便利になるという話です。
以下、ネットワークの設定をおこなうと、どのように幸せになれるかの解説したいと思います。
【利点1】 ファイルの交換が簡単になる
ネットワークの設置をおこなうと最新のOSともファイルの交換が簡単になります。
フロッピーディスクやMO、CD-Rに焼いてPC98にデータを渡すという事も少なるくなると思います。
下の画像はPC98のWindows95から見たファイルサーバー
下がWindows11側から見たファイルサーバー。
【利点2】 データの保存容量を気にしなくてよくなる
PC98が認識するHDDの容量には限界があります。
最終のPC98でも最大で32Gくらいだったと思います。
しかし、ネットワークにある先のファイルサーバーを使えば、データの保存量を気にすることはなくなります。
某ゲームの英雄王が言っていました。
「自己で補えないのなら、余所から奪ってくるのが魔術師だと」
この考え方は魔術師に限らず、どの業界でも同様の考えだと思います。
PC98自信のHDD容量に限界があるなら、ファイルサーバーの容量を奪えば問題解決です。
これによりSCSIインターフェースと外付けHDDなど使う場面が減ると思います。
【利点3】 MS-DOS領域のバックアップ・リカバリが簡単
Windows95とMS-DOSの両方ブートしている環境の話です。
Windows95からはMS-DOSの領域が丸見えなので、Windows経由でMS-DOS領域のファイルをファイルサーバーにコピーをしてしまえばDOSのバックアップが完了です。
バックアップを戻す場合は、以下手順をおこなえば終了です。
1. HDFORMAT.EXEなどでDOS領域を再作成、フォーマット
2. MS-DOSのSYSコマンドでシステムをインストール
3. ファイルサーバーにあるDOSのバックアップをDOS領域へWindowsのコピーで戻す
下のスクショはバックアップ中の画像。ただのファイルサーバーへのコピーですが。。。
【利点3の応用】 PC98のMS-DOS環境のエミュレーターを作成しやすい
利点3の「MS-DOS領域のバックアップ・リカバリが簡単」の応用です。
ファイルサーバーへバックアップしたDOSのアプリはPC98エミュレーターの仮想HDDへ入れてしまえばそのまま動きます。
※PC98エミュレーターの仮想HDDへMS-DOSのシステムの転送は必要になります
1.PC98エミュレーターの仮想HDDへMS-DOSのシステムをインストール
2.バックアップを仮想HDDへ入れる
これだけでDOSの資産がPC98エミュレーターで使用可能です。
DiskExplorerなどで仮想HDDへ入れてしまえばエミュ完了。
実機と起動ドライブが違うと思うので、CONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATの起動ドライブをメモ帳で編集しましょう。
終わり
以上、後期型PC98はLANポート装着を勧めたい理由でした。
MS-DOSやWindows3.1でもネットワーク構築は可能かと思いますが、構築はハードルが高くなると思います。
お気軽にTCP/IPを実装できるWindows95以降なら比較的に簡単に設定できると思います。
ネットワークを使えばSCSIでHDD増設やMO追加などゴテゴテした構成でなく、シンプルな構成の「禅」的なPC98になるのではないでしょうか?
iPhoneはシンプルなデザインです。余計なものを削ぎ落とし、本質と向き合うという禅の教えを、Appleが追求し続けた結果だと思います。このPC98版みたいな感じ?
どうもレトロパソコンというと、SCSIでHDD増設やMO追加と言った、「フルアーマーPC98」へと話が行きがちですが、たまにはシンプルなPC98もいいんじゃないかと思い書いてみました。
特に英雄王(魔術師)のお言葉「自己で補えないのなら、余所から奪ってくる」という考え方を意識するかどうかでシンプル度は変わってくると思います。
1990年代の終わり頃までは、データを持ち運ぶのによく使われたのがMO、CD-Rでした。さらにその前がFDD。
中には外付けHDDを持ち歩きデータのやり取りをしていた人もいたと思います。
現在はネットワーク、さらに言えばクラウドによりパソコン関連ではBlu-rayドライブもほぼ壊滅状態になったように、PC98にもネットワークを導入し、MOや増設HDDなどを取り外すことになれば、今のパソコンが、昔よりもシンプルな構成になった経緯も体験できると思います。
「故きを温ねて新しきを知る」みたいな感じで(違う?)。