Happy Hacking Keyboard 生みの親、東京大学名誉教授 和田英一先生はこう言っています。
アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。
いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。[東京大学 和田英一 名誉教授の談話]
PC98のキーボードも大切にしていきたいものです。もう生産されていませんし・・・
そういうわけで、今回はPC98キーボードをRetr0bright(レトロブライト)をおこない黄ばんだキーボードを
「あの時の白さに戻そう」
と思います!
対象はこのキーボード。
知っておきたい知識
Retr0bright(レトロブライト)
レトロブライトとは
レトロブライトは黄ばんだプラスチックを元の白色に戻す手法のことです。
実際の手法ですが日本では
- 「黄ばんだプラスチックを過酸化水素水につけ、紫外線を当て、黄ばみを取る」
というのが主流になっています。
レトロブライトの一次サイト
レトロブライトの一次サイトはすでに無く、レプリカみたいなページが残っています。
http://www.retr0bright.com/index.html
プラスチックが黄ばむ原理(間違ってそう)
wikiを見るかぎり、パソコンなどのプラスチック部に使用されている材料は「ABS樹脂」が多いらしく、このABS樹脂の難燃剤として使用されている「テトラブロモビスフェノールA」(TBBPA)が紫外線により劣化して臭素原子が遊離し、二原子分子となって黄ばむらしいです。
下が難燃剤として使用されている「テトラブロモビスフェノールA」(TBBPA)の化学式
上の式のものが、紫外線により劣化して臭素原子(Br)が遊離し、二原子分子Br-Br(Br2)プラス何かの物質になる感じだと思われます。
で、このBr2が黄ばみの元。
Br同士がくっつくと黄ばみになるので、レトロブライト(化学反応)でくっついている2つのBrを切り離そうとしている感じだと思われます。
そういえば高校の化学で「炭素間の二重結合への付加反応では、臭素(Br2)の赤褐色が消える」という内容を習いました。
そのまんま同じことはおこってないですが、似たような現象を起こしているのでしょうか?
参考↓
www.youtube.com
実はヒントを高校時代に習っていた?
用意するもの
ワイドハイターEXパワー
レトロブライトは「プラスチックを過酸化水素につける」というのを上で記述しましたが、この過酸化水素としてワイドハイターEXパワーを使います。
日光(紫外線)
紫外線がいります。晴れた日におこないましょう。
タッパー
紫外線を通す入れ物ならなんでもいいと思います。
レトロブライトの条件
過酸化水素に「ワイドハイターEXパワー」を使用
過酸化水素にワイドハイターEXパワーを使用します。
これは純粋に使用例と成功例がネットで多いから。
1次サイトレプリカのレシピによれば、過酸化水素水ならなんでもいいような感じですが、注意点として「添加物に気を付けろ」と記載があります。
意図しない添加物が含まれているとプラスチックにダメージが加わるみたいなことが書かれています。
ちなみに、1次サイトレプリカではヘアブリーチ製品に含まれている添加物でプラスチックにダメージが出た事例が紹介されています。
上記理由より、ワイドハイターにとろみをつけるために何かを混ぜるという事もしません。
ワイドハイターEXパワーの濃度
1次サイトレプリカのレシピによれば、
過酸化水素は3%~12%のものを必要としているみたいです。
日本で入手できる過酸化水素水は6%以下の物らしく、ワイドハイターの濃度が何%なのか分かりませんが、確実に言える事はワイドハイターの濃度は6%以下なので、原液のまま使えばいい感じになるんじゃないかと思います。
※ネットでは薄めている記事も多数ありましたが、とりあえず私は原液のまま使用する感じです。
ちなみにワイドハイターEXパワーの原液そのままを使用するので手に原液がつきます。この原液は非常に刺激が強いので、ビニール手袋を付けて作業した方がいいとおもいます。
私は素手で作業をしていましたが、作業後2日間はiPadの指紋認証に失敗していました。
紫外線
日光でもUVランプでもいいみたいです。
UVランプを持ってないので日光にさらします。
日光にさらす期間
とりあえず10月10日前後の間の3日。3日間 晴れ もしくは 曇り の日を狙います。
というか10月10日前後で4日連続雨でない日がなかったので3日。
手順
おこなう内容はをざっくり言うと以下になります。
- キーボードにワイドハイターEXパワーをぶっかけて日光にさらす
単純です。
以下詳細になります。
キーボードからキーなどを外す
キーボードからキーなどプラスチック類を取り外します。
以下の記事を参照し、分解してください。
pokug.net
中性洗剤で洗う
取り外したキーを食器洗いなどの中性洗剤で洗い汚れを落とします。
いきなりレトロブライトをすると、プラスチックの表面についている汚れで色落ちにムラが出るそうなので、まずは中性洗剤で洗いました。
ちなみに写真にはないですが、歯ブラシでキーを磨いています。
なんか桶の水が黒く濁ってる?
タッパーにワイドハイターEXパワーを入れ、キーを沈める
まずはキーボードのキー部のレトロブライト処理です。
タッパーにワイドハイターを入れ、キーを沈めます。
しかし、キーはプラスチックで軽いので浮いてしまったり、印字面が下になったりしてしまいます。
そこでキーの上にキッチンペーパーをのせて重しにしてあります。落とし蓋みたいな?(違う)
※写真では雑にキーを入れてありますが、お日様にさらすときは全部印字部分を上に向けました。
タッパー上部をサランラップで覆う
上の状態だとワイドハイターが蒸発するので、タッパー上部をサランラップで覆います
キーボード側面のレトロブライト処理
次はキーボードの側面のレトロブライト処理です。
キーボードのガワはタッパーに入らないので、キッチンペーパーをワイドハイターに浸し、そのキッチンペーパーをガワ全体に貼り付け、サランラップで巻いてあります。
日光にさらす
タッパーとキーボードのガワを外に出して紫外線を当てます。
結果
上がレトロブライト前で下がレトロブライト後です。
写真だとあんまり変わってない感じ?肉眼だと結構変わったような感じなんですが。
撮影は同じ条件で取ったつもりです。
サムネ用雑コラ。
次回する時への反省点
次をするかもわかりませんが、今回おこなったことによる反省点です。
レトロブライト前に中性洗剤でよく洗っておく
キートップを桶に入れて水を入れると水が黒くなってました。
結構汚れがあるので歯ブラシなどでよく洗っておく。
キーボードのガワも同じく歯ブラシなどでよく洗う。
というか、レトロブライトするものは中性洗剤で洗い、歯ブラシで磨く。
1次サイトレプリカでは、食器洗い機に部品を入れている人もいるみたいです。
日にさらすのは2日くらいでいいかも
今回は3日太陽にさらしましたが、2日くらいで十分かもしれません。特に理由はないですが、なんとなくそんな感じがします。
10月の晴天の日で2日分です。(夜も含む)
レトロブライト後に知ったのですが、1次サイトレプリカでは、「一日か、そこら後」という記載がありました。
むしろ2日もいらないのか?
しかしそこは、黄ばみ具合と過酸化水素の濃度と紫外線のパワーによるような気もしますし、UVランプ24時間なのか、太陽にさらすのが1日なのかも分からないので何とも言えません。
キーボードのガワとキッチンペーパーの間の気泡はなるべく避ける
キーボードのガワにキッチンペーパーを覆いましたが、ガワとキッチンペーパーの間に気泡があると色むらしそうな気がします。
100%気泡を消すのは無理でも大きいのは避けたいです。
あと、キッチンペーパーとサランラップの間も気泡を避けた方がいいと思います。
同様の理由でサランラップを均等にまいた方がいいかも。
ガワの右半分をサランラップを2重にして巻いて、左半分を3重にしていたら色むらが出そうです。
再発防止策
1次サイトレプリカでは、黄ばみの再発防止のためにプラスチックに「a clear acrylic varnish」を塗ると記載がありますが、「a clear acrylic varnish」って何でしょうか?
透明なアクリルワニス?実際どんな製品なのかの例がないので、再発防止は今回していませんが、次回は探してやってみたいと思います。
※透明なアクリルワニスは何者かはわかりませんが、キーボードに塗りつけるのはアレかもしれませんが、パソコンの筐体にならアリのような気がします
おわり
以上、PC98キーボードをRetr0bright(レトロブライト)する でした。
あの時の白さに戻ったかと言われると、そうでもないような感じがしますが、ある程度は白くなったと思います。
黄ばみとともに愛着も消えるのではないかとも思いましたが、黄ばみは無い方が愛着わきます。
PC98のキーボード、生涯使えるインタフェースとして大切に扱いましょう。